【検査方法】
検査方法には、①培養検査 ②抗体検査法 ③遺伝子検出法 ④抗原検査法の4つがあります。
①培養検査
特殊な培地でマイコプラズマを発育させることは可能ですが2~3週かかるうえに、うまく生えないことが多くほとんどの病院ではマイコプラズマの培養は実施していません。
②抗体検査
抗体検査による診断は発症早期の陽性率は低いため、2~3週間後の再度の採血が必要となります。
2回の採血の結果が出るまで待たなければいけないので診断に時間がかかってしまいます。
現在の発症時の血清のみでも確定診断可能としていますがこの方法では精度が下がるといわれています。
また一度かかると1年半ほど陽性となることもあり正確な診断が難しいのです。
③遺伝子検出法
PCR法やLAMP法などの遺伝子検出法は、感度・特異度ともに最も高い検査ですが費用と結果が出るのに数日がかかるというデメリットがあります。
またマイコプラズマは喉には存在しないことがあり菌体が少なく検出されなくても感染していないとは判定できません。
④抗原検査法
コロナ、インフルエンザのように咽頭ぬぐい液などからマイコプラズマの菌体成分を高感度、高特異度で検出する抗原検査法があれば理想的です。
遺伝子検査同様、のどには菌体が少なく検出されないことがあります。
精度は遺伝子検出法よりやや劣りますが陽性と判断できれば早期治療を開始できるというメリットもあります。
というわけで、マイコプラズマ肺炎の早くて確実な診断というのはなかなか難しいのですが、症状の経過、つまりしつこい咳と頑固な発熱があり熱と咳が続いているわりには元気はわりとあって聴診器では正常な呼吸音、という症状に、レントゲンでは肺炎の影があるという場合さらに上述の検査を組み合わせて総合的にマイコプラズマと診断します。
【マイコプラズマ感染症の治療】
マイコプラズマ感染症による炎症が上気道に留まっている場合や、軽度の気管支炎の場合は安静にしていれば自然に軽快することがほとんどです。
発熱・咳・頭痛などの症状がひどい場合や、検査でマイコプラズマ肺炎と診断された際には、マイコプラズマには細胞内に入り込む能力があるので、長期間のマイコプラズマに適した(ジスロマック、アジスロマイシン、クラリスロマイシン等)抗菌薬投与が必要です。
【マクロライド耐性】
マクロライド投与後も2~3日発熱が続く場合には、マクロライド耐性マイコプラズマ感染症の可能性が高いと推察できるためマクロライドを投与して熱が下がらなければレボフロキサシン、ミノサイクリンなどテトラサイクリンやニューキノロンを使っていきます。ただし、マクロライド耐性マイコプラズマ感染症であっても,2~3日以内に自然に解熱に達する場合もあります。
【登園・登校目安】
厚生労働省の感染症対策ガイドラインでは、登園・登校目安を「発熱や激しい咳が治まっていること」としています。
しっかりと治らないまま登園・登校させると、症状の悪化・長期化を招くばかりか、第三者へ感染させてしまう可能性がありますので慎重に判断しましょう。
食事や夜間の睡眠がいつも通りに出来る状況になるまではしっかりと治療し、体力が回復できるように療養しましょう。
初期の症状は発熱や倦怠感、頭痛など、風邪に似ていますが、長引く咳が特徴です。痰が少ない乾性咳嗽が、解熱後3~4週間続くこともあり後期には痰が絡んだ咳が出ることが多くときに肺炎を起こすこともあります。
昔は4年に一度、秋から冬にかけて流行する感染症のひとつでしたが、今では季節に関わらず、毎年流行しています。
風邪と少し違う特徴を3つご紹介します。
【風邪との違い1:治るのに時間がかかる】
一つ目は、マイコプラズマは風邪よりも熱や咳が長びき、喉よりさらに奥に炎症を起こすことが多く気管支炎や肺炎になることもあります。特に高齢者、基礎疾患を有する者、喫煙者などが肺炎のリスクが高くなります。1週間以上も熱が下がらないことや、咳が2~4週間もなかなか治らないということもあります。
【風邪との違い2:感染力が強い】
二つ目は、マイコプラズマは風邪よりも感染力が強いということです。
症状の出ない潜伏期間は2~3週間と長く咳の症状が続いてもあまり熱が出ないため、自分で気がつかない間に他人にうつすことがあります。時に学校で大流行することもあり、家族の一人が感染すると家族内の伝染は90%に達するといわれています。
マイコプラズマは飛沫感染により咳やくしゃみなどのしぶきを通して周囲の人に感染しやすいため、マスクや充分な手洗いなどが予防に重要です。
【風邪との違い3:全身の臓器がダメージを受けることがある】
三つ目に、非常にまれではありますが、気管・肺以外の全身の臓器がダメージを受けることがあります。
例えば、皮膚、肝臓、心臓、脳などがダメージを受けます。皮膚症状としては紅斑丘疹や水疱性発疹があります。小児では脳炎で発症することもあり脳がダメージを受けるど重篤な状態になることもあります、通常は自然に治癒する場合がほとんどです。
2024年に入ってもコロナは収束してきてはいません、任意のコロナワクチン接種が始まり10月からは高齢者の接種とインフルエンザの予防接種も始まりますがコロナ禍や熱帯夜による夏バテによる免疫力の低下によりコロナ以外の感染症の増加も懸念されています。
一般的に治りづらいと言われている夏風邪も発生し、コロナとの見分け方が難しい状況になります。夏風邪はどんな症状が出る?コロナとの違いについても紹介します夏風邪と冬の風邪は何が違う?
夏風邪と冬にひきやすい風邪の違いは、前回お伝えしたようにウイルスにあります。エンテロウイルス、アデノウイルス、コクサッキーウイルスというウイルスは1年中存在しているものの湿度50%以上となる活発になります。また暑さを起因とする免疫力の低下によってウイルスを撃退するのに時間を要す、お腹で増殖するとウイルスが体外に出るまでに時間がかかるといった状況から一度罹ると治りづらくなると言われています。発症すると発熱、喉の痛み、頭痛、食欲不振、鼻づまり、腹痛、下痢といった症状以外にもヘルパンギーナ(急性のウイルス性咽頭炎)、手足口病(手足、口腔粘膜等に水疱性の発疹ができる)、プール熱(咽頭結膜熱)と言われる感染症が起こることもあります。
コクサッキーウイルスでは呼吸器症状、発しん、口内炎、結膜炎、髄膜炎といった症状が出る可能性があります。
前述したようにウイルス撃退・排出までに時間がかかるということが「夏風邪はタチが悪い」と言われる原因ですが、症状が軽く現れるということも原因の一つと考えられます。
ちょっとした体調不良だろう、すぐ治るだろうと高を括っていたら喉の痛みがひどくなった、高熱になった、下痢の症状がひどくなったということにもなりかねません。
コロナウイルスによる感染症は発熱(微熱〜高熱)や関節痛・筋肉痛、咳、倦怠感といった状態になります。また特徴的なものとしては味覚や嗅覚の異常があります。そこまで症状がひどくなかったものの急速に重症化して集中治療や人工呼吸器が必要となるケースもあり軽く見るのは危険です。
引き続きコロナへの予防・対策は継続する必要がありますが、コロナへの対策は夏風邪対策にも繋がっています。
いずれも接触や飛沫を介して感染するという特徴があるため、感染経路を断つことが重要となります。
すでにマスクの着用義務はなく、熱中症予防のためにも屋外では可能な範囲で外すことが推奨されていますが、くしゃみやせきなどによる飛沫によってウイルスが体内に入る可能性もあるため、屋内の人との距離感が近い場所では引き続きマスク着用がおすすめです。
ウイルスが付着したものに触れることで感染する接触感染においては、粘膜からウイルスが体内に侵入する可能性があるため、コロナの予防でも呼びかけられていた手洗い・うがいやアルコール消毒が欠かせません。
屋内であれば、同じ空気を閉じ込めず流れができるように定期的に喚起をすることも大切です。以上のように、コロナの時に言われていたソーシャルディスタンス、3密や不要不急の外出を避けるという行動は夏風邪においても効果的と言えるでしょう。
クーラーの温度を下げすぎて体を冷やすのも良くないですが、寝る前に体温を上げすぎるのも避けなければなりません。人の体は睡眠時に体温が下がるようにできていますが、体温が高い状態で寝ると体温の下がり方が激しくなり風邪をひきやすい状態となるためです。
そのため入浴は39℃以下のぬるめと感じる程の湯船にゆっくり浸かることをおすすめします。また入浴は寝る時間の1、2時間前までに済ませておくと眠りにつきやすくなります。
夏風邪とは?
冬に多く風邪を引き起こすコロナウイルスやRSウイルス、インフルエンザウイルスなどは低温で乾燥を好みますが、夏風邪を引き起こすエンテロ(腸)ウイルスやアデノ(喉)ウイルスは高温多湿を好み夏に活動的になります。
名称が示すように発熱に加えて、腹痛や下痢、喉の痛みを引き起こすウイルスで、夏風邪はお腹にきやすいのは主にはエンテロウイルスが原因です。
発熱があると、市販の解熱・鎮痛薬や風邪薬を使う人が多いと思いますが、胃腸障害や便秘を起こしやすいものもあるので却って悪化することがあります。
下痢はウイルスを排出するための生体の反応でもあるので、風邪薬や下痢止めを使うと症状が長引くことになりかねません。
腹痛や下痢が続くときには、早めに受診して、適切な薬を処方してもらうことが大切です。
また、下痢を起こすと脱水症状にもなりやすいので、水分と塩分を多めに摂ること。
とくに高齢の方は、発熱で体がだるいと脱水症状に気づきにくいのでのどが渇いたと感じなくても1時間に1回程の補給を忘れないようにしましょう。
#手足口病 エンテロウイルスが原因のウイルス性感染症で、病名の通り、手のひら、足の裏、膝や臀部に水泡のような発疹が出ます。口の中には赤い発疹ができ、痛むこともあります。
比較的元気で、発熱も微熱で済むことが多いです。
#ヘルパンギーナ こちらもエンテロウイルスが原因のウイルス性感染症で、喉に水泡のような、口内炎のような発疹ができ、強い痛みが診られます。
元気がなくなり、39度以上の高熱が出るのが特徴で、体に発疹は出ません。
熱は2~3日で収まり、治るのに1週間くらいかかります。
#咽頭結膜熱 こちらはアデノウイルスが原因のウイルス性感染症で、アデノと呼ばれることも多い疾患です。
突然39~40度の高熱がでて、元気がなくなります。のどの腫れと、結膜炎が診られます。
熱は4~5日ほど続き、治るのに1週間くらいかかります。
#流行性角結膜炎 こちらもアデノウイルスが原因のウイルス性感染症です。
結膜(白目の部分です)が充血し、目ヤニが出たり、目がゴロゴロしたりします。
また耳の前にあるリンパ節が腫れたりすることもあります。
比較的元気で、熱は出ません。
ただし、感染力が極めて強く、治るのにも2週間くらいかかります。
ウイルスが原因の疾患では抗生剤のような根治的な薬が現在ありませんので治療は症状を和らげる対症療法になります。
夏風邪は冬の風邪と異なり、経口感染が多いと考えられますので手洗いうがいなどを心がけるのはもちろんですが、トイレや、洗面所、入浴時のタオルを使いまわすのもやめましょう。また免疫力の低下も、夏風邪の原因の1つです。炎天下での運動や外出、あるいは睡眠不足や不規則な食事が続いたとき、免疫力が急速に低下することがありますので、十分注意してください。
夏風邪はどんな症状が出る?コロナとの違いについても紹介|はじめに
2024年に入ってもコロナは収束に向かっていません、10月からワクチン接種が始まりますがコロナ禍におけるその他感染症ワクチンの接種率が低下や子供の免疫力の低下等によって、コロナ以外の感染症が懸念されています。
夏期に入ると、一般的に治りづらいと言われている夏風邪に罹る懸念も発生し、コロナとの見分け方が難しい状況にもなります。
近年は異常気象と言われるような現象が季節ごとに各地で発生しており、夏はその土地の最高気温を更新したり、真夏日や熱帯夜が何日も続いたりということも珍しくなくなってきました。
その結果、皆さんの体に自律神経の乱れ等の異変をもたらして夏バテ等の体調不良を引き起こす可能性も高くなっています。
夏バテ自体は病気ではないものの、症状に気づかず放っておくことで夏風邪や熱中症、さらに脳梗塞等の重篤な病気を発症する可能性もあります。
夏風邪はどんな症状が出る?コロナとの違いについても紹介|夏風邪と冬の風邪は何が違う?
夏風邪と冬等にひきやすい通常の風邪の違いは、端的に言うとウイルスにあります。
基本的にウイルスは低温かつ乾燥した空気で繁殖しやすいと言われていますが、中には高温多湿な日本の特徴的な夏の気候を好む種類も存在します。
具体的にはエンテロウイルス、アデノウイルス、コクサッキーウイルスというウイルスで、これらは1年中存在しているものの湿度50%以上となる活発になります。
特にエンテロウイルスは喉から感染して腸で増殖するためのどの痛みや咳、下痢や腹痛といった症状を起こしやすく、これらは夏風邪の大きな特徴の一つとなっています。
また暑さを起因とする免疫力の低下によってウイルスを撃退するのに時間を要す、お腹で増殖するとウイルスが体外に出るまでに時間がかかるといった状況から一度罹ると治りづらいと言われています
エンテロウイルス、アデノウイルスによる夏風邪はいずれも子供が罹りやすく、発症すると発熱、喉の痛み、頭痛、食欲不振、鼻づまり、腹痛、下痢といった症状以外にもヘルパンギーナ(急性のウイルス性咽頭炎)、手足口病(手足、口腔粘膜等に水疱性の発疹ができる)、プール熱(咽頭結膜熱)と言われる感染症が起こることもあります。
コクサッキーウイルスも同じく子供が罹りやすいもので呼吸器症状、発しん、口内炎、結膜炎、髄膜炎といった症状が出る可能性があります。
また大人が全く罹らないというわけではなく、家で子供から感染する可能性や、疲れや寝不足等で免疫力が弱っている時に発症する可能性もあるので注意が必要です。
前述したようにウイルス撃退・排出までに時間がかかるということが「夏風邪はタチが悪い」と言われる原因ですが、症状が軽く現れるということも原因の一つと考えられます。
ちょっとした体調不良だろう、すぐ治るだろうと高を括っていたら喉の痛みがひどくなった、高熱になった、下痢の症状がひどくなったということにもなりかねません。
「夏かぜの治療について」では各ウイルスの特徴について詳しく紹介されていたので、さらに詳細を知りたい方はあわせてご覧ください。
夏風邪はどんな症状が出る?コロナとの違いについても紹介|コロナとの違いは?
コロナウイルスによる感染症は現在少しずつ特徴的な症状や治療法等が確立しつつある状況ですが、軽症であると自覚症状が現れない場合もあります。
症状が現れる場合は発熱(微熱〜高熱)や関節痛・筋肉痛、咳、倦怠感といった風邪と同じような状態となります。また特徴的なものとしては味覚や嗅覚の異常があります。
コロナにおいては、そこまで症状がひどくなかったものの急速に重症化して集中治療や人工呼吸器が必要となるケースもあり、現時点で明らかになっていることも決して多くはないため、軽く見るのは非常に危険です。
夏風邪はどんな症状が出る?コロナとの違いについても紹介|どのような予防をすれば良いか
引き続きコロナへの予防・対策は継続する必要がありますが、コロナへの対策は夏風邪対策にも繋がっており、その逆もまた然りとなります。
いずれも接触や飛沫を介して感染するという特徴があるため、感染経路を断つことが重要となります。
すでにマスクの着用義務はなく、熱中症予防のためにも屋外では可能な範囲で外すことが推奨されていますが、くしゃみやせきなどによる飛沫によってウイルスが体内に入る可能性もあるため、屋内の人との距離感が近い場所では引き続きマスク着用がおすすめではあります。
ウイルスが付着したものに触れることで感染する接触感染においては、粘膜からウイルスが体内に侵入する可能性があるためコロナの予防でも呼びかけられていた手洗い・うがいやアルコール消毒が欠かせません。
屋内であれば、同じ空気を閉じ込めず流れができるように定期的に喚起をすることも大切です。以上のように、コロナの時に言われていたソーシャルディスタンス、3密や不要不急の外出を避けるという行動は夏風邪においても効果的と言えるでしょう。
クーラーの温度を下げすぎて体を冷やすのも良くないですが、寝る前に体温を上げすぎるのも避けなければなりません。人の体は睡眠時に体温が下がるようにできていますが、体温が高い状態で寝ると体温の下がり方が激しくなり風邪をひきやすい状態となるためです。
そのため入浴は39℃以下のぬるめと感じる程の湯船にゆっくり浸かることをおすすめします。また入浴は寝る時間の1、2時間前までに済ませておくと眠りにつきやすくなります。
③熱中症の特徴
熱中症は高度な脱水所見があることが多い一方、感染症ではありませんので主症状は脱水によるもの、気道感染の症状である咳や鼻水・咽頭痛などはなく発熱やだるさなどが中心になります。特徴的な症状の出方として初期症状は、めまい、立ちくらみ、生あくび、筋肉痛です。
屋外の場合は木陰などの日陰へ移動し、スポーツドリンクなどで水分と塩分の補給を行って体を休めてください。
保冷剤や冷水入りのペットボトルなどをタオルやハンカチで巻き首筋やわきの下といった体表近くの太い血管の通るところを冷やすとより効果的です。
意識がはっきりしない場合には無理な冷却や水分補給は危険な場合もあるので体を冷やすのはぬるま湯をかけて扇風機やうちわで扇いで冷やす程度にとどめて救急車を呼んでください。
熱中症の症状は変わりやすく、初めから高熱があるとは限りません。初期段階では汗が出て体温の上昇が伴わないこともありますが、大量の汗をかき体内の水分が失われるとそれ以上汗をかくことができず体温が上がっていきます。平熱だと思っていたら急に高熱になる場合もあるので注意が必要です。倦怠感や頭痛もある場合は、熱中症は急激に悪化することがあり、1 人だけにするのは危険です。もちろん新型コロナ感染症等で高度な発熱や下痢により脱水症状を伴うことがあります、多少症状が軽快しても体調の悪い時の外出や運動は普段より熱中傷になりやすいので注意が必要です。
熱中症の高体温と風邪の発熱のメカニズムの違い
風邪などによる発熱は、体が外敵を攻撃するために意図的に行っているものであるため、脳が設定した以上の体温にまで上昇することは通常ありません。
熱中症の高体温では脱水により汗をかけなくなり体温調節機能が失われているために、42℃を超える高熱を生じ、生命に危険がおよぶことも起こりえます。熱中症による意識消失や 40℃前後の高熱が見られる場合には大至急救急車を呼びましょう。
脱水をみる所見として見られる変化として「Capillary Refill Time(キャピラリー・リフィル・タイム:毛細血管補充時間」というものがあります。手の親指の爪を3秒以上、反対側の親指で押してみる親指の爪を押している間は白くなると思いますが、離してみて爪の色が「赤」になるまでの時間を計測してみてください。通常、1秒もたたずに爪の色が赤く戻ると思いますが、ずっと爪の色が白いままで「赤」に戻るまでに 2 秒以上かかった場合、脱水などに見られる「末梢の循環が悪い」サインになります。
そろそろ熱中症に注意が必要な季節になります、そこで熱中症と風邪の違いをおさらいしましょう。
熱中症とコロナや風邪の違いは何でしょうか。熱中症もコロナや風邪も発熱をしたり疲労感が起こったり、吐き気や頭痛を伴うこともあり症状が似ています。
もちろん両者は原因が全く異なるので、症状の現れ方にも明確な違いがあります。
熱中症ではなく風邪だと判断しやすいのが、「咳やのどの痛み」、「くしゃみや鼻水」などがあげられます。
反対に熱中症にあって、風邪にない特徴としては、意識の混濁や筋肉のけいれん、生あくびなどがあげられます。
①症状の「きっかけ」が異なる
熱中症はやはり「気温が高い(特に外)場所に長時間いて、水分も取れない状態の時」に発症しやすくなります。
一方、新型コロナ感染症は、他の風邪同様「人ごみの多い場所(特に室内)にいたり、コロナ感染症をきたしている方と接している場合」に発症します。
「症状が出た」と思ったら、まず「きっかけはどうだった」か振り返ってみて下さい。
特に熱中症の場合、明確な「脱水をきたしやすい環境」が発症起点となります。
(新型コロナ感染症は、その強い感染力から、特に人混みに行っていなくても起こることがあるので注意が必要です。)
②新型コロナ感染症や風邪は「気道感染」の所見がある
やはり新型コロナ感染症か見極める1つとして「他の症状が伴うか」は非常に重要になります。
新型コロナウイルスといえども、もともとは風邪のコロナウイルスが変異したもの。
咽頭や鼻腔から侵入し、気管や気管支・咽頭でウイルス増殖する点は従来のウイルス感染症と同じです。
したがって、新型コロナ感染症をはじめとしたウイルス感染の場合は咳や咽頭痛を伴うことが多く、少なからず上気道に炎症があるのがほとんど。
「のどの痛みはなかった」という方も、咽頭をよく観察すればウイルス感染をきたしている所見がよく見られます。
また「発熱」といっても熱中症と違い「ゾクゾクした寒気(悪寒)」を伴うことも多いです。
風邪のウイルスなどによる発熱は、ウイルスを撃退するための体の自然な反応であるため、通常42℃を超えることはありません。
免疫反応といい、風邪のウイルスなどが体内に侵入すると、敵を攻撃しようと白血球などの免疫細胞が活動を始めます。
体の免疫力を高め、かつ37℃前後を好むウイルスの働きを弱めるために必要な体温が脳によって設定され、発熱が引き起こされます。
ぜひ「他の症状はどういうものがあるか」を注意深く考えてみてください。どちらの可能性が高いか、わかることが多いです。
ほかの風邪もほとんどはウイルス感染です。風邪のウイルスだけでなく、別の細菌に二次感染し、気管支炎や肺炎、脳症など合併症を起こし重症化することがあります。重症化する前に、早めに風邪の症状を緩和し体力を回復することが大切です。
市販の風邪薬を飲んで、半日から1日様子をみましょう。そのまま症状が落ち着いたら、治るまで安静に過ごしてください。
市販の風邪薬を飲んでも改善しない場合は、すぐに医療機関にご相談ください。
前回に記述したDASH食は果物と野菜、低脂肪乳製品が多いことが特徴です。参考にしたのは地中海沿岸の伝統的な食事で、オリーブオイル、全粒穀物、野菜、果物、豆、ナッツ類、チーズ、ヨーグルト、魚、赤ワインなどで米国の食事に比べれば血圧を下げて循環器病の発症を予防することがわかってきました。それぞれの栄養素単独では弱い効果しかなくても、組み合わせることで大きな作用が期待できます。しかし、低脂肪乳製品やナッツ類、果物・野菜を多用するアメリカ式のDASH食メニューは、日本人にとって必ずしも実践しやすいものではないため、日本人にあった食事を考えてみましょう。
日本食も野菜や魚が多く脂肪が少ないなど、地中海食と似ている部分があり健康に良いといわれていますが、食塩がかなり多く、塩分を少なくすることができれば循環器病の予防効果が期待できると言われています。
日本高血圧治療ガイドライン2019が推奨する項目
①食塩制限(食塩6g/日未満)、②野菜・果物の積極的摂取、コレステロールや飽和脂肪酸の摂取制限、③適正体重の維持、④運動の習慣、⑤節酒、⑥禁煙の6項目が推奨。
DASH食の日本食の場合
飽和脂肪酸は肉類や乳製品、洋菓子に多く含まれます。
またコレステロールは、動物の内臓や魚介類に多く含まれます。
できるだけこれらを減らし、青魚(さば、いわし、あじ、さんま)や大豆製品(豆腐、納豆)を増やすようにするとよいでしょう。
DASH食とは
D···dietary
A···approaches
S···stop
H···hypertension
(高血圧にストップをかけるための食事)
高血圧を指摘されたらまずは減塩と運動が必要ですが、仕事が忙しく食事は外食や総菜が多く減塩は難しい、普段から塩分は気にしているつもりだけれど・・・といった話を外来でよく伺います。そこで塩分量を減らすだけではなく、食べた塩分を排出する役割を持つ食品を多く摂れるDASH食を取り入れるのはいかがでしょうか。
肉などのコレステロールが多いもの、糖分や脂肪分が多いものを避けて、野菜、果物、低脂肪乳製品、魚介類、大豆製品、海藻を中心に食べるようにするそうです。
DASH食が重視する栄養素
1.カリウム
カリウムとナトリウム(塩分)には相互作用があり、カリウム摂取を増やすと、血圧を上げやすいナトリウムの排泄が促されやすくなそうです。
多い食材:野菜、果物、きのこ類、海藻類
2.カルシウム
カルシウムは骨の材料だけだはなくカルシウムが足りないと血管が収縮しやすくなり、血圧が上がりやすくなります。カルシウムは血管を縮める交感神経の興奮を抑えて、血管を広げて血圧を下げてくれるのです。
多い食材:牛乳・乳製品、小魚、大豆食品、野菜(小松菜、青梗菜)
3.マグネシウム
カルシウムと対となって働くミネラルであり、カルシウム同様に日本人には欠乏しやすい。マグネシウムは、カルシウムの働きを調整して血管のしなやかさを保ち、血圧の過度な上昇を抑える働きがあります。
多い食材:魚類、大豆食品、ナッツ類、穀物
4.食物繊維
食物繊維に期待されているのは、余分な塩分や脂質などを絡め取り、その排泄を促してくれる働き。それにより高血圧、さらには腎臓の働きを邪魔する動脈硬化が防げる。
多い食材:穀物、根菜、海藻類、きのこ類、イモ類
5.タンパク質
タンパク質は筋肉を作っているだけではない。血管もまたタンパク質、タンパク質の摂取が不十分だと、高血圧で血管が弱く脆くなりやすくなります。
多い食材:肉類、魚類、卵、牛乳・乳製品、大豆食品
主食は精製度の低いもの(玄米、全粒粉、蕎麦、オートミール、小麦ふすまなど)を選ぶとよいでしょう。また色の濃い野菜や海藻類、きのこ類にも食物繊維やミネラルが豊富であるため、積極的に取り入れます。さらに、果物もできるだけ毎日取り入れ、間食にナッツ類をとり入れるようにすると、ミネラルをしっかり補給できるでしょう。
アメリカでは、血圧が平均して11.4mmHg下がるという結果が出たらしいです。
高血圧の治療や予防には、DASH食の実践とあわせて、減塩、適正体重の維持、節酒、運動、禁煙も大切です。できるところから取り組みをはじめましょう。
高血圧症の食事で大切なことは、減塩を中心に、適正なエネルギー量を摂取して肥満にならないように注意し、野菜をたっぷり食べ、アルコールは控え、運動を積極的にするといった相互作用から成り立っており、どれも継続していくことが大切です。
外食をすると普段食べているものより味の濃いもが多くあります、味の濃いものばかり食べると病気になるという話を聞いたことがあると思います。
塩分を過剰摂取していると高血圧をはじめとした生活習慣病を引き起こし命に関わるリスクが高くなります。
高血圧を放置し動脈硬化を起こすと狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血等の原因になります。
高血圧をはじめさまざまな病気を引き起こさないためにも、塩分の過剰摂取には注意したいですね。
今回は塩分の過剰摂取を避けるためのポイントを説明します。
1.塩分を控える
先ず何よりも薄めの味付けになれましょう。
醤油や味噌などの調味料、漬物やソーセージなどの加工食品を減らす、醤油やソースはかけるのではなくつける、漬物を食べたり汁物を摂ったり場合は量を減らすなどの工夫をしましょう。
ラーメンなどの麺類の汁を飲み干すと6g程度の塩分を摂取してしまうため飲み干さないようにしましょう。
減塩みそや減塩しょうゆなど減塩タイプの調味料や加工品などが販売されています、これらを上手に取り入れ、レモンや酢などの酸味や生姜、胡椒などの香辛料を使用する、ハムやソーセージはゆでる等の工夫も有効です。
2.カリウムを摂る
塩分を体から排出するカリウムを多く含む野菜類や果実類、豆類、海藻類などを摂るようにしましょう。
カリウムは水溶性であるため茹でたり煮たりすると水に溶けてしまうため野菜や果物を生のままで摂ることが勧められています。
加熱する場合はゆで汁に流れた分も摂取することができるため減塩のスープなどにするのもおすすめです。
3.食物繊維を摂る
食物繊維には体内の糖や脂肪、ナトリウムなどを吸着して体外に排出する作用があるため血圧上昇や肥満などを予防・改善する効果が期待されています。
野菜類、果実類、豆類、きのこ類、海藻類、穀類などの植物性食品に含まれています。
持病のある方の目標
高血圧、心臓病、腎臓病のある方は、食塩を多くとることで病気が悪化するため、目標が前回紹介した7.5gより厳しくなっています。
これらの持病のある方は、1日6g未満が目標とされています。
食塩摂取量の調べ方
塩分摂取量に目標がありますが、自分でどれくらい摂っているかを把握している方は少ないと思います。
食事量から計算する方法(食事記録法)
食べる食品の重さを測り、食品成分表を使い、含まれている食塩の量を計算します。
尿で調べる方法
摂取した塩分のほとんどは尿から排泄されるため1日尿をためる方法です。
しかし生活をしながら、すべての食品の重さを計ったり全ての尿をためたりするのは大変ですし外出先で食事や尿をすることもできません。
そこで当院でも採用している1回の尿から1日の塩分摂取量を推定する方法が考案されました。
前回のブログでもお伝えしたように外来受診時に一日塩分量測定希望と伝えてください。
食事制限はありませんので、普段通りの食事を召し上がってきてください。
費用
高血圧、心臓病、糖尿病など持病のある方は、健康保険が利用できます。
その場合、3割の自己負担で、約500円程度です(別に診察料がかかります)。
まとめ
塩分摂取量の目標は厳しく、多くの方が、目標とより多く摂取していると考えられます。
健康のために、減塩をすることは大切です。
そのためには、現在、自分がどのくらい塩分をとっているかを知ることが、健康の第一歩になると考えます。
塩分摂取量は控えた方が良いことは分かっていても、どのくらいにしたら良いか分からない方が多いかもしれません。
一般的に塩分摂取量の目安は食品に含まれるナトリウムの量から推定された「食塩相当量」で示されています。
「1日当たりの塩分摂取量はどのくらいが良いのかな?」このように具体的な数値を知りたい方も多いでしょう。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、1日当たりの摂取目標量を食塩相当量として18歳以上の成人男性で7.5g未満、同じく女性で6.5g未満と設定しています。
この数値は過剰摂取による生活習慣病の予防を考慮した目標量です。
世界保健機関(WHO)では全ての成人に対して摂取量を食塩相当量で1日当たり5.0g未満にすることを強く推奨しています。
しかし日本ではWHOの基準を満たしている人の割合が極めて低いため、摂取目標量はWHOの推奨する摂取量と「平成28年国民健康・栄養調査」で報告された摂取量の中央値との中間値を取り設定されているのです。
ナトリウムは食塩以外の形でも食品に含まれています。
例えば、うまみ成分として知られる「グルタミン酸ナトリウム」「イノシン酸ナトリウム」「グアニル酸ナトリウム」もナトリウムを含む物質です。
またラーメンなどの製麺に使用される「かんすい」、パンやケーキなどに使われるベーキングパウダーにもナトリウムが含まれています。
つまり食塩相当量には食塩以外のナトリウムの量も含まれているため、実際の食塩の量とは異なることに注意が必要です。
塩分を過剰摂取すると口が渇いたりむくんだりする他、高血圧などのさまざまな病気のリスクが高まります。
通常、体内のナトリウムは一定の濃度に保たれています。
しかし塩分を過剰摂取すると体内のナトリウムの濃度が高くなり、この濃度を正常に戻すために体内に水分をため込もうとして水分量が増加します。
この結果、体がむくんだり血液量が増加して血圧が高くなったりします。
さらに慢性的な塩分の過剰摂取は胃がんや生活習慣病を引き起こす場合があるため注意が必要です。
自覚症状がほとんどないため、気付かないうちに進行して血管が厚く硬くなり本来の弾力性を失う動脈硬化になると血管が詰まったり破れたりしやすくなり、「心臓病」や「脳卒中」など命に関わる病気を引き起こす可能性があります。
当院では1日推定塩分摂取量の検査をお勧めしています。
当院に受診していただき専用の容器をお渡ししますので都合の良い日に朝2回目の尿を少量お持ちいただき、一日の塩分接種量を推定するというものです。
1回500円で検査ができます。
1.ステロイド筋注(ケナコルト)
ステロイド筋注は、一回注射すると1-3ヶ月程度効果が持続するとされ「注射1本で薬が要らなくなる」花粉症治療として宣伝されています。非常に魅力的な治療ですが諸刃の剣ともいわれ注射部位の皮膚陥没、感染症リスク増加、糖尿病・高血圧の悪化、顔がパンパン浮腫む、白内障・緑内障の悪化、生理不順など危険な副作用もあります。厚労省、日本耳鼻咽喉科学会、日本アレルギー学会が非推奨としており、当院では投与経験がありどうしても症状を抑えなければならない方に限定して投与させて頂いています。
2.抗IgE抗体オマリズマブ(ゾレア)
2月~5月の期間限定で、ゾレアを皮下注射するもので、従来の内服薬では鼻炎症状が治まらなかったり、抗ヒスタミン薬による眠気などの副作用が強く使用できなかったりする場合にご検討ください。
注射による治療
《ゾレアによる治療を受けるための条件》
1.重症または最重症の季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)
前年のスギ花粉シーズンでも同じ症状があった。
2.スギ花粉のアレルギー検査(血液検査)の結果が陽性。
スギ花粉抗原に対する血清特異的IgE抗体がクラス3以上(TEIA法で3.5UA/mLまたはCLEIA法で13.5ルミカウント以上)
3.既存治療を1週間以上行い、効果が不十分であった。
4.12歳以上で、血清中総IgE濃度が30~1,500IU/mL、体重が20~150Kgの範囲にある。
※妊娠中および授乳中の方は、必ずご相談ください。
投与前に数回受診していただく必要があります。
《1回目の受診》
■重症花粉症と診断
■血液検査:特異的IgE抗体検査
■既存治療を開始(抗ヒスタミン薬、点鼻薬等)
1週間以上経過後↓
《2回目の受診》
■既存治療で効果不十分なスギ花粉症であると診断
■血液検査:総IgE検査、特異的IgE検査確認
数日後↓
ゾレア投与量/投与間隔と自己負担額の決定
《初回投与日》
ゾレア投与開始(スギ花粉シーズン中、2週間または4週間毎に投与)
■併用する抗ヒスタミン薬の処方
主な副作用は、注射部位の赤み・かゆみ・腫れ等の反応です。基本的には注射した当日~翌日程度で治まってきます。
また、稀ではありますが重篤な副作用としてアナフィラキシーショックがあります。初回投与の2時間以内は、全身のかゆみや息切れなどがないか注意いただき、そのような症状があらわれた場合は速やかに連絡いただくことになります。
ゾレアが適応となるような重症花粉症患者さんは6月以降スギ舌下免疫療法を受けましょう。唯一の根本治療です。
※舌下免疫療法 (院長ブログ2023年11月23日既出です詳細はご参照ください)
症状を和らげるだけではなく花粉症の根治を目指す薬です。このような治療方法をアレルゲン免疫療法といいます。現在、スギ花粉とダニによるアレルギーには、"舌下免疫療法"と呼ばれる治療方法が行われており、毎日舌の裏に治療薬を置き、数分後に飲み込むことを繰り返すことにより、スギ花粉によるアレルギー反応を抑えることができるようになるといわれています。
この治療方法には花粉症の症状がない季節を含め、3~5年の継続が必要とされます。治療中は症状を抑える薬を併用することが可能です。
1.抗ヒスタミン剤
アレルギー性鼻炎では鼻の粘膜の中に色々な化学伝達物質が出てきます。ヒスタミンが最も重要で、くしゃみ、かゆみ、鼻汁などをおこします。一方ヒスタミンは、人が目を覚ました状態を保つ上で必須の物質でもありますのでヒスタミンのはたらきをブロックすると眠くなってしまいます。花粉症の薬を飲んで眠くなるのは、薬の成分が脳に到達するからです。眠くなりにくい花粉症の薬は、成分が脳に入り込みづらくなっているのです。
第一世代抗ヒスタミン薬(効き始めるのが速いが眠くなることがある)
:ポララミン、ペリアクチン、タベジールなど
第二世代抗ヒスタミン薬(眠くなるなどの副作用が軽減されています)
:アレグラ、クラリチン、ザイザル、ディレグラ(アレグラ+プソイドエフェドリンの合剤)など
2.抗ロイコトリエン薬
鼻づまりがひどいという場合には、ロイコトリエンを抑える薬を併用します。血管を拡張させ、鼻づまりを起こす作用があるロイコトリエンという物質のはたらきを抑える薬です。鼻閉が主症状の場合によく使用されますが、くしゃみの改善効果もあります。内服 開始後1週目で効果が発現します。どの重症度でも処方されることがあります。
オノン、シングレア、キプレスなど
3.ケミカルメディエーター遊離抑制剤
ケミカルメディエーター遊離抑制薬は、化学伝達物質全体を出しにくくする作用を持つ薬ですが、効果は、他の抗アレルギー薬にくらべマイルドです。初期や軽症の段階で処方されます。即効性がないため、花粉の季節よりも前から服用することが大切です。眠くなりません。
インタール、リザベン、トラニストなど
4.抗プロスタグランジンD2, トロンボキサンA2 薬
鼻づまりに効果があり、初期から重症まで処方されることがあります。
バイナスなど
5.Th2サイトカイン抑制剤
サイトカインと呼ばれる物質の中でもアレルギーの発症に関与するもの放出されることを防ぐことにより、アレルギー反応を和らげます。初期や軽症の段階で処方されます。
アイピーディーなど
6.ステロイド
点鼻、点眼薬としてステロイド薬が使用されることもあります。くしゃみ、鼻水、鼻づまりなど鼻の症状がある場合には点鼻薬として初期のうちから使用されるほか、重症になると点眼薬や内服薬としても使用されます。
フルナーゼ、アラミスト、セレスタミン(ポララミン+ステロイドの内服薬)、プレドニンプレドニゾロンなど
7.血管収縮薬
主に重症で鼻づまりの症状があるとき、期間を限定して点鼻薬として使用します。連用すると使用しないときにリバウンドの鼻づまりが強まります
トラマリゾン、プロビナ、コールタイジンなど
花粉症は症状や重症度によって効果のある薬が異なるため、効果の強い薬を一概に示すことはできません。そのため、その人の症状や重症度にあった薬を服用することが大切です。軽傷であれば抗ヒスタミン単独、重症では抗ヒスタミンに加え鼻噴霧用ステロイド、必要に応じてケミカルメディエーター、血管収縮剤、経口ステロイドの追加などが必要な場合もあります。
花粉症の疑いがあっても病院を受診せず、自己判断で市販薬を服用している人の場合、薬を服用していても“効いている気がしない”ということもあるかもしれません。この場合、症状や重症度にあった薬を服用できていない可能性があるため、病院を受診し、医師から症状や重症度にあった薬を処方してもらうことを検討しましょう。また、病院で処方された薬を服用しても“効かない”と感じる場合、受診の際にその旨を医師に相談しましょう。
2024年の花粉症の季節が到来しました。今年は過去10年間の平均飛散量の1.1倍という推定ですので、花粉症の方は早めの対応をしておきたいところです。
・花粉症の主な原因は?
スギ等の風によって花粉を運ぶ植物(風媒花)は虫などが花粉を運ぶ植物(虫媒花)よりも多量の花粉をつくり、花粉が遠くまで運ばれるので花粉症の原因になりやすいと考えられています。
・なぜ花粉症になるの?
人には細菌やウイルスから身体を守る仕組みがあります。異物が体内に侵入するとそれを排除しようとする仕組みですが、免疫機構が勘違いを起こして暴走することにより花粉症やぜんそく、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどのアレルギー疾患が発症します。
・どうしたら症状が楽になりますか?
まずは花粉を避けることです。外出時は眼鏡やマスクなどで目や鼻を防御し、帰宅後は着替えて顔を洗う、シャワーを浴びるなどして衣服や顔・身体についた花粉を落としましょう。洗濯物はなるべく外に干さず、どうしても干す場合には風の強い日や飛散量の多い日・時間帯は避けましょう。窓やドアの開け閉めにも気をつけ、花粉を室内に入れない工夫が必要です。
スギ花粉症の患者はヒノキのアレルギーも持ち合わせている方も多く、その場合にはゴールデンウィークまでアレルギー性鼻炎が続きます。スギ花粉症なのか、ヒノキのアレルギーも持っているのか、あるいは秋にもアレルギー性鼻炎の症状が出現する方は、一度、血液検査によりアレルゲン検査を受けてみることをお勧めします。
アレルギー検査
よく用いられる血液アレルギー検査を一言でいうと「どのアレルギー物質が体に反応しているかを血液中の『IgE抗体』の量で調べる検査」のことです。医師が問診などの結果、アレルギー検査の必要があると診断すれば保険適用で行える「View39」「MAST36」などの検査があります。検査項目が若干異なりますので、ご希望に応じてどちらかを選んでいただきます。
検査料はどちらも3割負担で約5000〜6000円です。
・花粉症は治りますか?
花粉の飛散量は年によって変動しますが、毎年必ず飛散しますので、何年も暴露を繰り返すことにより、感作が進むと考えられます。感作されるかどうかは体質によりますが、一度感作されると、症状が緩和されることはあっても完治するのはなかなか難しいと考えられています。対症療法として、点眼薬や点鼻薬などの局所療法、目のかゆみや鼻水などを鎮める抗ヒスタミン薬や鼻づまりをよくするロイコトリエン受容体拮抗薬、漢方薬などの内服による治療があります。
花粉症の治療の基本は第二世代の抗ヒスタミン薬です。最近では市販薬にもなっている薬剤(商品名だとアレジオン、アレグラ、クラリチン、タリオンなど)がありますが、これらの薬剤の内服のみでは効果に満足できない方はぜひ受診することを勧めます。
眠気が少ない第二世代の抗ヒスタミン薬でも眠くなってしまう方には小青竜湯を試してみることを勧めます。内服薬だけでは不十分な場合には点鼻薬を追加しますし、目のかゆみが強い方には点眼薬を追加します。
花粉症に対する唯一の根本治療として期待されているのが、免疫療法です。
・免疫療法ってなんですか?
アレルギー症状の緩和、治療薬の減量などの効果が期待できる免疫療法は、ごく少量のアレルゲン(花粉やダニなど)の投与を繰り返し行い、その物質に過敏に反応しないよう体を慣らすことで、体質改善を促します。スギ花粉症の場合、花粉シーズンを避けた6月~12月の間であれば治療を始められます。治療効果はスギ花粉の場合、70~80%前後で、免疫療法により1~2割の人が薬を必要しなくなったという報告があります。ただし、即効性はなく、治療期間としては3~5年を推奨されており、3年以上続けた場合、治療効果は長く持続することが分かっています。花粉症の症状が再び悪化した場合も再度免疫療法を行えば早くに改善されます。なお、免疫療法の実施により他のアレルギーの発生予防も可能です。
・花粉症になってから食べ物で蕁麻疹やのどが痒くなるようなこともあります。
花粉症を発症後、肉、果物や野菜などでアレルギーを合併することもあります。これは、花粉のアレルゲンに似た物質を持つ果物や野菜が反応してしまうためです。症状が出たら原因となる食べ物は摂取を控え、病院で相談してください。
花粉症の症状が出だすころ、軽いうちに抗アレルギー剤を飲み始めることを、「花粉症初期治療」といい、症状がひどくなってから抑えるよりも、楽に過ごせると言われています。
花粉の本格シーズン前に初期治療を始めることをおすすめします。
1.カテーテル治療
治療に要する時間は1~3時間程度で、24~48時間後には起きて歩くことができ、一般的な入院日数は術後3~5日程度です。胸骨を切開することも心臓を止めることもないため外科手術よりも早い回復が望めます。
a) 経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI:タビ)
大動脈弁狭窄症に対しカテーテルを使って心臓を止めないで人工弁を留置する方法です。多くの場合は、太ももの付け根の血管から弁を装着したカテーテルを挿入する方法で行われます。
TAVI弁は新しい治療のため耐久性が明らかではありません。現時点では10年程度の追跡調査では問題なく平均余命が10年前後となる80歳以上をTAVI第一選択とするのが妥当ではないかと考えられています。数年後には、生命予後も含めて10年間以上を追跡した長期成績が出てきますのでボーダーラインは75歳以上になるだろうと予想されています。現在の日本のガイドラインではTAVI か 手術かの明確な年齢基準は決定されていませんが年齢の目安として、80 歳以上はTAVI、75 歳未満は手術が推奨されています。
TAVI は既に確立された治療であり症例によっては第一選択として検討すべき時代が到来していると考えられます。またTAVI術後にも人工弁が壊れてきた際の 再手術に追加のカテーテル治療(TAV in TAV)が行われるようになり選択の年齢はより若年化することになるだろうと思います。
b) 経皮的僧帽弁接合不全修復術(MitraClip:マイトラクリップ)
僧帽弁閉鎖不全症で外科手術が困難な患者さんに対する治療法です。太ももの付け根の静脈から管を挿入し、逆流している僧帽弁の2つの弁をクリップで挟んでつなぎ合わせることで逆流を減らす治療法です。
通常の手術では,弁輪形成,心房細動再発を抑制すMaze手術や三尖弁形成の手術が同時に行われ有用性が証明されているため,僧帽弁逆流の再発率を下げるためには弁輪へのアプローチ等が今後の重要な課題となっています。実際,クリップと同じ効果がある手術(edge-to-edge)に弁輪形成術を追加した患者とMitraClip®による手技のみが行われた患者の比較では,弁輪形成術が行われた手術の方が僧帽弁閉鎖不全の再発が少ないとの報告もあり,今後カテーテルによる弁輪形成術デバイスやTAVIと同じように僧帽弁位に留置できる弁の開発が期待されています。
手術
1.弁置換術・弁形成術(SAV)
外科手術は、一時的に心臓と肺の機能を代行する人工心肺装置を用い、通常は心臓を止めて行います。最近は、肋骨の間の数cmの小切開のみで行うMICSや小さな穴を開けて手術器具を挿入する内視鏡やロボットを用いた手術も行われています。
・弁置換術は壊れた弁を新しい人工弁に取り換える手術です。人工弁には生体弁と機械弁とがあり生体弁は機械弁と比較すると耐久性が低く(10~20年)、再手術が必要になることがありますが、血栓を防ぐお薬を服用する期間は短くて済むというメリットがあります。一方機械弁ではワルファリンという血液が固まりにくくなる薬を生涯にわたって服用する必要がありますが、きちんと管理すれば一生弁が壊れることはまずないといっていいほど耐久性の長い弁になっています。
・弁形成術は現時点では主に僧帽弁閉鎖不全症に対して行われています。自分の弁をできるだけ残しながら逆流している弁を修理する手術です。逆流の原因となっている部分を切り取って縫い合わせたり、広がった弁輪を縮小したりして修復します。人工弁を使用しないので術後10年目以降でも再手術になる可能性は人工弁置換術と比べて低いといわれています。また弁輪に対する人工弁輪での形成,心房細動再発を抑制するMaze手術や三尖弁への治療介入等複数の手術が同時に行うことが可能でこちらも有用性が証明されています。
・これをうけて近年では大動脈弁でも自分の弁を修復する手術や自分の組織で大動脈を再建する大動脈弁再建術も行われるようになってきています。また生体弁置換術後でも人工弁が経年劣化しても次回お伝えするカテーテル治療(TAV in SAV)が可能になり、追加のカテーテル治療を考慮した生体弁も開発をされています。一方機械弁では弁自体はほとんど壊れることはありませんが血の塊や細菌が付いて動きが悪くなったりすることがあります、このような時に機械弁ではカテーテルによる追加治療はできなくなることから今後生体弁選択の時期がより若年化することになると思います。いずれの手術法も長期の成績は安定しており現時点では75才以下の年齢では手術による治療が第一選択となります。しかし近年欧米ではもっと若い年代でもカテーテル治療を行うようになってきており、今後日本もそのようになっていくものと考えられています。
薬による治療
薬で壊れた弁が治せるわけではありませんが病気が軽い方には有効な治療です。つらい症状を抑え、脳梗塞などの合併症を予防しまた心臓の負担を軽減して心不全を起こしにくくするのが目的です。効果は患者さんごとに異なり、定期的な診察で再評価を繰り返すことが大切です。
主な治療薬
利尿剤 体の水分を減らし血液全体の量を少なくすることにより心臓の負担を減らします。
血管拡張剤 血管を広げて血液が流れやすくすることにより心臓の負担を減らします。
抗不整脈剤 主に脈を落ち着かせて不整脈が原因で起きる動悸などの症状を抑えます。
抗凝固剤 不整脈が続くと心臓の中で血液がよどみ血の塊ができてしまいます。やがてその塊が頭や体に飛び脳梗塞や動脈塞栓を起こすことを予防します。
降圧剤 心臓の動きを抑えて負担をとる、血管を広げることによって血圧を下げるなどにより心臓の負担を軽くします。
強心剤 心臓の収縮力を高め、全身に血液が行きわたるようにします。
多くの心臓弁膜症では重症になると薬による治療効果には限界があり、外科的な手術やカテーテル治療が必要になります、従来から行われてきた弁置換術や弁形成術といった外科手術に加え、最近はさまざまなカテーテル治療が登場しています。
弁膜症の症状は自覚しにくい
弁膜症は軽いうちは気づかず、また多くの場合には徐々に進行していくため症状が表れにくいといわれています。また心臓は弁膜症を代償するようにできているため弁を通りにくくなる狭窄症では筋肉を厚くして(心肥大)強い力で血液を押しだせるようにしたり、弁がもれてしまう閉鎖不全症では心臓の部屋を大きくすることで(心拡大)弱い力でもたくさんの血液を押し出せるようにしたり適応していくため進行に気づかないことが多くなります。重症となり弁の狭窄や逆流により心臓への負担が大きく代償ができなくなると、息切れや、動悸、ふらつき、胸痛などの症状を自覚するようになります。重症になると治療が難しくなるケースも多いのでまあ大丈夫じゃないかなと思ってもなんか疲れやすくなった、動悸が気になる、脈が乱れるなどの症状があれば症状が軽くても念のため調べてみることをお勧めします。
心不全の症状
心臓弁膜症では主に狭窄や閉鎖不全により心臓のポンプ機能がうまく働かなくなっている状態です。歩行時の息切れ、動悸は運動により体の筋肉がたくさんの酸素を必要とした時に十分な血液が送れず酸素不足になり起こります。このような場合は治療を検討します。
不整脈
僧帽弁閉鎖不全症や僧帽弁狭窄症は心房細動などの不整脈を高率に合併します。主な症状は動悸や息切れです。ご自分で脈をとってみて脈がとんだり一定のリズムでなく乱れているようであれば病院で相談してください。不整脈の状態によって、治療を慎重に検討します。
感染性心内膜炎
体内に入り込んだ細菌が心臓の弁に付いてしまった状態です。弁膜症があると細菌が心臓内に着きやすくなり感染で急激に弁が破壊され、高熱が続き症状が突然悪化することもあります。原因不明の高熱が続いた場合には一度心臓超音波検査等を受けてみてください。また心臓弁膜症のある方が、歯科治療や出血する処置を必要とする場合、感染性心内膜炎予防の観点から抗菌薬の使用を検討します。
心臓弁膜症とは
心臓には左心房・左心室・右心房・右心室という4つの部屋があり各部屋の入口と出口には逆流を防ぐ弁があります。
心臓弁膜症は、さまざまな原因によってこの弁が正常に働かなくなってしまう状態です。
弁膜症を起こす原因には、加齢、感染、外傷、そして先天的な問題などがあります。
心臓の弁の役割
弁は心臓の内部で、血液が流れる時には開いて、それ以外の時には閉じて血液の逆流を防いでいます。
弁の機能障害には「狭窄症」と「閉鎖不全症」とがあります。
弁が動脈硬化などで硬くなり開かなくなるが狭窄症で、弁が変形等で閉じなくなって逆流を起こすのが閉鎖不全症です。
狭窄症
大動脈弁狭窄症
左心室から大動脈へ送られる血流が妨げられます。
そのため、心臓に負担がかかりますし心臓から送り出される血液量が少なくなるため、心臓自体や脳の酸素不足を起こします。
特徴的な症状は胸痛、失神などです。原因は加齢による変性、二尖弁などの先天的な異常などがあります。
僧帽弁狭窄症
僧房弁の開きが不充分なため、左心房から左心室への血流が妨げられます。
そのため、左心房の圧力が高くなり、心不全や心房細動という不整脈の原因となります。
左心房内に血栓ができて脳梗塞を起こすこともあります。
息切れや夜間の咳などの症状が見られます。
閉鎖不全症
大動脈弁閉鎖不全症
大動脈弁が閉じず、大動脈へ送り出された血液が左心室へ逆流します。
逆流した分、左心室の負担が増加し、心臓が拡大してしまいます。
胸痛、動悸、息切れ、呼吸困難、浮腫などの症状を起こします。
原因は、二尖弁などの先天的な異常、加齢による変性、膠原病、感染性心内膜炎などがあります。
僧帽弁閉鎖不全症
僧房弁が完全に閉じないために、左心室から大動脈だけに送られるはずの血液が左心房へ逆流します。
左心房が拡大し、心房細動という不整脈を高頻度に合併します。
原因は、弁を支えている組織が切れたり伸びたりして僧房弁の位置がずれてしまう僧房弁逸脱症や、心筋梗塞、心筋症、リウマチ熱の後遺症、感染性心内膜炎、加齢による変性などがあります。
心臓弁膜症の検査
検査聴診で心雑音を指摘されて、あるいは心電図検査時に異常が発見されて見つかることが多くなっています。
ただし、正確な確定診断と評価は、心臓超音波検査(心エコー検査)が不可欠です。
肋骨の隙間から心臓の状態をリアルタイムで観察できます。
この検査は痛みがなく、胎児の状態を確認するためにも使われている安全な検査です。
心臓弁膜症の主な症状
心臓弁膜症は少しずつ進行していくのでもう年だからとか最近運動不足だから息が切れると思っていると気付かないうちに進行して、重症となってから発見されることもあります。
治療が必要になるのは主に症状が現れた時ですが、無症状でも手術が必要になる場合があります。
心臓弁膜症の診断を受けた場合は、症状がなくても定期的に受診して心エコー検査などで状態を確認するようにしましょう。
当院でスギ花粉、ダニ花粉に対する舌下療法の処方が可能になりました。
舌下免疫療法とは、スギ花粉やダニによるアレルギー性鼻炎を治療する方法でアレルギーの原因となる物質を含む治療薬を舌の下に置き、定められた時間含んでから飲み込みます。薬の服用を毎日続けることで、少しずつ原因物質への免疫を作っていき、アレルギー反応を減少させ発生しないようにします。
舌下免疫療法で期待できる効果とは
研究の結果では、2割が完治6割は症状が改善し残りの2割は効果がなかったそうです。即効性のある治療方法ではなく、長期間治療を継続する必要がありますので治療をしている間にも、アレルギーの症状が発生することもありますが続けることが重要です。アレルギーの症状を抑制するのみならず、体質の改善にもつながるので、スギ花粉症やダニアレルギーを根治する効果も期待できます。
舌下免疫療法のメリットとは
自宅で服用が可能
初めての服用の際は医師の指導のもとで行うため、通院が必要になりますが、2回目以降の服用は自宅で継続して治療することが可能です。ただし、経過観察のために定期的に通院する必要があります。
アレルギーが根治する
舌下免疫療法は体質を根本的に改善することによって、アレルギー反応そのものが生じないようにする、もしくは発症したとしても軽微な反応に抑制するという特長があります。アレルギー治療薬による眠気などの副作用を受けることもないため、生活の質を改善することができるでしょう。
健康保険の適用
舌下免疫療法には健康保険が適用されるため、自己負担額を少なくすることができます。3割負担の場合、1ヶ月あたりのコストは、スギ花粉症の治療で1800円(税込)程度、ダニアレルギーの治療で2000円(税込)程度になります。この金額に診療費や検査代が加算されます。通院の際は健康保険証を持参する必要があります。スギ花粉の治療薬は治療時期に制限があります。
詳しくは電話:03-6413-8482でお問い合わせください。
本日は最近お問い合わせが多い大動脈解離の話です。
大動脈解離の第一の原因は高血圧です。血圧は130を超えると高血圧といわれ日本人のおよそ3人に1人が該当するといわれます。血圧が高いと血管への負担が大きくなり内膜の亀裂も起こりやすくなるため、放置していると動脈解離を発症させる引き金となります。予防については日常の血圧管理がとても重要です。そういった発症リスクが高い方が危険な状況に至るのを回避するには毎日の生活習慣を見直しましょう。また、高脂血症や糖尿病などを併発していて、動脈硬化を起こしやすい人は血圧を中心にコレステロールや血糖値を含めて、きちんと管理することが予防につながります。それらをコントロールするには、食事の内容や運動はもちろん、アルコールの飲みすぎや喫煙習慣にも注意が必要です。すでに動脈硬化の可能性がある人は、医師の指導を受け、生活全般にわたって見直すようにしましょう。
急性大動脈解離の予防法
一度発症してしまうと極めて重症となりやすく迅速な対応が必要な急性大動脈解離ですが、前兆はほとんどありません。したがって予防が大変重要になってきます。これまでの研究により、どのような人がこの病気になりやすいかの特徴がわかっておりそれらを治療していくことが必要です。大動脈解離の危険因子には以下のものが報告されています。
1.大動脈径(大きさ)
胸部大動脈の太さが60㎜を超えると解離が起きやすいと言われています、定期的にレントゲン検査を受けましょう。
2.身体的・精神的ストレス
重量上げなどの激しい運動や激昂などの情動的ストレスが解離発症に関与しているとの報告があります。
•適度な運動を継続的に行いましょう。
3.高血圧
大動脈解離の8割で高血圧の合併がみられます。•投薬治療などを適切に行い、自身の血圧をコントロールしましょう
•塩分の取りすぎに注意し、バランスの良い食事を心がけましょう。
(減塩のポイント)
*塩分の多い加工食品を避ける
*ラーメンなどのスープは残す
*酢やかんきつ類などを利用し、味にメリハリをつける
*減塩醤油などの減塩食品を活用する
*野菜を積極的に摂取する
4.季節・時間帯・曜日
冬季・午前中・月曜日に多いとする報告があります。血圧上昇や心拍数上昇、交感神経緊張、などが影響している可能性が指摘されています。
5.睡眠障害
大動脈解離の約半数に睡眠障害がみられたとの報告があります。睡眠障害は高血圧の発症率を高めます。また閉塞性睡眠時無呼吸症候群を同時にもつ大動脈解離症例の約半数で閉塞性睡眠時無呼吸症候群の重症度が高度であったとの報告があります、いびきのひどいかたは一度検査を受けましょう、検査は自宅でもできます。
6.禁煙を心がける
•喫煙により動脈の炎症や収縮が引き起こされて動脈硬化が進展し血管壁の劣化が進みます。血液の流れが悪くなることで大動脈解離などを発症させる要因となります。
7.肥満に気をつける
•肥満により動脈硬化が促進されます。規則正しい生活と日頃の運動を心がけましょう。
8.人間ドックや健康診断を積極的に受けましょう。
•早期発見により破裂する前に適切な処置が可能です。
上記の中で治療可能な危険因子としては 3 の高血圧と 5 の睡眠障害(特に閉塞性睡眠時無呼吸症候群)があげられます。また 1 の大動脈が太くなる(動脈硬化が進む)原因には、高血圧の他、脂質異常症(特に高コレステロール血症)、糖尿病、高尿酸血症、肥満、喫煙などがあり、間接的にこれらも急性大動脈解離発症に関与していると言えます。
すなわち、これらの「生活習慣病」と「睡眠障害」をしっかりと治療し「禁煙」することが急性大動脈解離の予防法といえます。
上記以外にも様々な要因により発症リスクが高まる可能性があります。ご心配な方は専門医へご相談下さい。
アデノウイルスは一般に夏風邪、プール熱とも呼ばれることのある、子どもが目や喉の症状をきっかけに感染が確認される事が多い感染症です。
通常気温が高くなる7、8月に感染のピークをむかえますが、今年は10月になり感染者が増えているようで注意が必要です。
ウイルスの型が80種以上あり一度感染した大人でも再感染のリスクがあります。
今回は、アデノウイルスの症状や感性経路、治療、予防方法について紹介します。
アデノウイルスは感染する型によって症状や重症度が異なります。
例えば、目やのどの症状、呼吸器の症状などさまざまです。アデノウイルスの潜伏期間は、5~7日ほどで、症状は通常の風邪に近いです。
下記のような症状があらわれた場合は、アデノウイルス感染の可能性もあります。症状によっては早めに医療機関を受診するようにしましょう。
1.発熱
アデノウイルスに感染すると、高熱を出すことが多いです。39℃前後の高熱が出たあと、37℃程度の熱が3~4日ほど続くこともあります。
2.咽頭炎
発熱と同時に、喉の痛みや腫れ、扁桃腺の腫れが起きることが多い感染症です。
喉の赤みや扁桃腺のあたりが白くなります。悪化すると、呼吸器系の症状として気管支炎や肺炎を引き起こす可能性もあります。
3.結膜炎(目の充血、目やに、涙)
目の充血や目やにの症状が強く現れると結膜炎を起こしている可能性が高いです。アデノウイルスでは、発熱がそこまでなく結膜炎になる場合があります。
子どもの場合は、目をこすり、その手や触れたものを介して感染が広がることがあるため、予防や対策も大切になります。
上記3つがアデノウイルスで出やすい三大症状ですが、ほかにも症状が現れることがあります。
そのほかの症状
下痢、嘔吐、腹痛、鼻水、鼻詰まり、血尿、膀胱炎
身近にアデノウイルスに感染した方がいる場合は、自身も発症していないか注意深く確認するようにしましょう。
感染経路はインフルエンザ、コロナウイルスと同様です。
1.咳やくしゃみなどの飛沫感染
2.ウイルスがついた部分を触ることで感染する接触感染
感染力が強いため、子どもが感染した場合に家庭内で感染が広がるケースも少なくありません。
治療方法
アデノウイルスはコロナやインフルエンザと違い抗ウイルス剤がありませんので、治療は薬による対症療法(解熱剤や咳止め等で症状を抑えて体力の回復を待つ)のみになります。睡眠時間をしっかり確保する、栄養バランスの整った食事を摂る、脱水にならないように水分と塩分を十分に補給するなど、規則正しい生活を送り免疫の低下を防ぐことが大切です。ただ結膜炎の症状が強い(目の充血、痛み、かすむ等)場合にはステロイド点眼などが有効な場合があります。最悪視力低下につながる場合もありますので早めに眼科を受診してください。
アデノウイルスの予防方法
感染から1ヶ月経過後も、便からアデノウイルスが排出されるようなケースもあるといわれています。
もし、家庭内や職場で感染者が発生した場合には、しばらくの間はしっかりと感染対策を実施する必要があります。
1.こまめに手を洗う
こまめに手を洗うことは家庭内感染を防ぐために効果的です。食事の前やトイレの後などは石鹸で手を洗い、十分に水で流してください。
指の間や指先などの洗いにくい部分も丁寧に洗いましょう。洗い終わったら、清潔なタオルやペーパータオルなどで手を拭きましょう。
2.消毒する
比較的感染力が強いウイルスであり、ノンエンベロープウイルスと呼ばれアルコールや加熱に対しても型により若干の耐性をもった種類に分類されています。
次亜塩素酸ナトリウムでの消毒が効果的ですのでドアノブや手すりなど、よく手を触れる部分はこまめに消毒しましょう。
3.タオルや食器を分ける
アデノウイルスは感染者の飛沫のほか、感染した人が触ったものを介して感染が広がります。
タオルや食器は家族で同じものを使わず、分けるようにしましょう。
4.マスクをする
アデノウイルスは飛沫で感染が広がります。感染した子どもはもちろん看病するママ・パパもマスクを着用して感染を予防しましょう。
5.感染者は最後にお風呂に入る
アデノウイルスに感染した子どもが入った後のお風呂に感染していない家族が入ると、うつってしまう可能性があります。
アデノウイルスに感染した子どもは、家族全員が入った後に入浴させるようにしましょう。
感染者が先にお風呂に入る場合は、一度お湯を抜いて掃除してから他の家族が入るようにすると安心です。
6.規則正しい生活を送る
寝不足や偏った栄養バランスの食事が続くと、免疫力が低下し、ウイルスに感染しやすくなってしまいます。
ウイルスに負けない体を保つためにも、睡眠時間をしっかり確保する、栄養バランスの整った食事を摂るなど、規則正しい生活を送ることが大切です。
大人が感染した場合の治療期間
大人がアデノウイルスに感染した場合、一般的に熱が下がるまで4~5日かかりますが、
熱が下がってからも感染する可能性があるので、一緒に生活している家族や、職場の方などにも感染しないよう、日常生活でも配慮する必要があります。
大人がアデノウイルスに感染したら仕事は何日休む?
アデノウイルス感染症には「〇日休まなければならない」という決まりはありません。
しかし体調が悪いときに休まないのは現実的ではないので、ご自身の様子を見ながら判断しましょう。
症状がなくなって元気になれば問題なく出社できるかと思いますが、3〜4週間はウイルスの排泄が続くので、感染を広げないためにマスクを着用するなどの対策を行いましょう。
子どもの場合は咽頭炎や結膜炎があると登園・登校に制限がかかるケースもあります。
当院の発熱外来でもコロナ陽性の患者は少なくなりましたがインフルエンザ陽性の患者は増えてきています。
急に38度以上の発熱が出て、咳やのどの痛み、全身の倦怠感を伴うなどインフルエンザが疑われる症状が出た場合には
(1)早めに医療機関を受診しましょう。
抗インフルエンザウイルス薬の服用を発症から48時間以内に開始すると、発熱期間は通常1~2日間短縮され、ウイルス排出量も減少します。
症状が出てから48時間以降に服用を開始した場合、十分な効果は期待できません。
(※)発熱12時間未満の場合、検査の結果が陽性にならないことがあります。
(早めの検査で陰性であっても出勤は控え、発熱後12時間以上経過してから再検査をすることをおすすめします)
(2)安静にする
睡眠を十分にとるなどして安静にすることにより免疫力を回復しましょう。
(3)水分補給
高熱による発汗での脱水症状を予防するために、特に症状がある間は、こまめに水分の補給が必要です。
(4)薬は医師の指示に従って正しく服用
医師が必要と認めた場合には、抗インフルエンザウイルス薬が処方されます。
医師の指示(用法や用量、服用する日数など)を守って服用してください。
ほかの人にうつさないためには?
・「咳エチケット」でほかの人にうつさない。
最も感染力が高いのは発症から3日間ですが、7日目でもウイルスを排出している可能性があります。
熱が下がってもインフルエンザウイルスは体内に残っていますので周囲の人への感染を防ぐため、解熱後数日は学校や職場などに行かないようにし自宅療養することが望ましいでしょう。
文部科学省は学校保健安全法におけるインフルエンザ出席停止期間について発症後5日間を経過し、かつ解熱後2日間までは出席を停止する。としています。
一方社会人は労働安全衛生法に出勤の可否や停止期間について明記されていないため、事務所の就業規定の確認が必要となります、「インフルエンザ等の特定の感染症にかかった際に、従業員の就業を禁止(出勤停止)する」等の規定がある場合、インフルエンザにかかったこと隠して出勤すると就業規則違反になります。
復帰後も以下に記述する飛沫感染、接触感染に気をつけて職場や取引先にうつさないように気をつけましょう。
感染予防
くしゃみや咳が出るときは、飛沫にウイルスを含んでいるかもしれませんので、次のような咳エチケットを心がけましょう。
1.マスクを着用する
くしゃみや咳が出ている間はマスクを着用し、使用後のマスクは放置せず、ごみ箱に捨てましょう。
マスクを着用していても、鼻の部分に隙間があったり、あごが出たりしていると効果がありません。
鼻と口の両方を確実に覆い正しい方法で着用しましょう。
2.口と鼻を覆う
くしゃみや咳をするときは、ティッシュなどで口と鼻を覆いすぐにゴミ箱に捨てましょう。
3.顔をそらす
くしゃみや咳の飛沫は、1~2メートル飛ぶと言われています。
くしゃみや咳をするときは、他の人にかからないようにしましょう。
4.こまめな手洗いやアルコール消毒
くしゃみや咳などを押さえた手から、ドアノブなど周囲の物にウイルスを付着させたりしないために、
インフルエンザに感染した人もこまめな手洗いやアルコール消毒を心がけましょう。
ワクチンを接種すると発病を20~50%低下させ、発症しても症状の軽減、重症化予防、死亡を80%程度予防する効果が期待できると報告されています。
当院ではインフルエンザワクチンは診療時間内であれば(9:00~13:00と15:00~20:00)一般の方も随時3000円で受け付けています。御希望される場合はこのページの上にあるインターネット予約のバナーまたはお電話:03-6413-8482で予約ください。
今年はすでに三宿、三軒茶屋、池尻でもインフルエンザの患者が増えています。
通常よりも早く流行が始まっているため今後が見通せない状況です。
流行を防ぐためには、感染しないことや周囲にうつさないようにすることが重要です。
インフルエンザの感染を広げないために、「かからない」「うつさない」対策を実践しましょう。
インフルエンザと風邪は、のどの痛みや咳(せき)などよく似た症状がありますが、風邪とインフルエンザは、症状も流行の時期も違います。
インフルエンザでは風邪症状の他に高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛等を伴い急激に発症することが多く、流行の時期も冬の乾燥した時期に流行することが多いとされています。
毎年およそ10人に1人が感染しています、高齢者や持病をお持ちの方や小児では肺炎や脳症などを併発して重症化してしまうこともあります。
感染経路
1.飛沫感染
感染者のくしゃみや咳でウイルスが放出され別の人がそのウイルスを吸い込む。
*主な感染場所:人が多く集まる場所
2.接触感染
感染者がくしゃみや咳を手で押さえるその手で周りの物に触れて、ウイルスが付く。
別の人がその物に触ってウイルスが手に付着その手で口や鼻を触って粘膜から感染する。
*主な感染場所:電車やバスのつり革、ドアノブなど
感染を予防するためには、こうした感染経路を絶つことが重要です。
インフルエンザから身を守るためには?
・正しい手洗いやふだんの健康管理、予防接種で感染を防ぐ。
1.手指消毒
私たちは毎日、様々なものに触れウイルスが付着している可能性があります。
ウイルスの体内侵入を防ぐため以下のことを心がけましょう。
2.予防接種
インフルエンザワクチンを打つことで、発病の可能性を減らすことができ、また最も大きな効果として、重症化を予防することが期待できます。
3.適度な湿度を保つ
空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御機能が低下します。
乾燥しやすい室内では加湿器などを使って、適切な湿度(50%~60%)を保つことも効果的です。
4.人混みや繁華街への外出を控える
インフルエンザが流行してきたら、不要不急のときはなるべく、人混みや繁華街への外出を控えましょう。
「インフルエンザかな?」と思ったら 早めに医療機関で受診しましょう。
当院では少しでも多くの方にワクチン接種をしていただけるように一般の方は税込み¥3000で行っています。
原則予約不要ですがワクチンがなくなり次第終了となりますので詳細はホームページで御確認ください。
三宿、三軒茶屋、池尻はまだ昼は暑い日が続いていますが、朝、夕はだいぶ涼しくなってきました。
今回は寒くなると気を付けなければいけない高血圧の話です。
高血圧はほとんどの方は症状がなくまた健診や人間ドックで高血圧を指摘される方は3人に1人になるそうです。
これだけを聞くとさほど怖くない病気に思えるかもしれませんが実は症状のない病気は知らないうちにどんどん進行して突然具合が悪くなり救急車で運ばれることが多い怖い病気が多いのです。
高血圧が持続すると動脈硬化を進め、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血、認知症のリスクが高まります。実際最高血圧が10mmHg上昇すると、脳卒中のリスクが男性で約20%、女性で約15%上昇をし、20mmHg上がると心血管による死亡は2倍になると言われています。
わかり易い例えをすれば痛い虫歯は早めに治療するけれど痛くないとどんどん進行して抜かなければならなくなるのと同じです。
高血圧を改善する方法とは
1.塩分を減らす
塩分を多くとると血圧は高くなります。
厚生労働省の調査によると、日本人の1日あたりの塩分摂取量の平均値は男性が10.9g, 女性が9.3gとなっています(2019年)。
高血圧重症化予防のために厚生労働省が推奨する塩分摂取量は男女とも6.0g/日未満であることを考えると、現状の塩分摂取量は非常に多いと言えます。
2.有酸素運動を行う
有酸素運動(ウォーキング・ジョギングなど)は高血圧を改善する、という報告があります。
40分の有酸素運動を週に3回行った人々はそうでない人々と比べて血圧が10mmHgも下がっている、という結果もあります。
血圧を10mmHg下げることが出来れば、脳卒中や心筋梗塞の発症リスクを15~20%下げることができます。
3.血圧を降下させる薬剤
現在、血圧を降下させる様々な薬剤が販売されています。
軽度の高血圧であれば薬物療法は不要であるケースが多いですが、なかなか治らない場合は薬剤と1や2で挙げた、薬物を使わない療法を並行して行うことで、治療の効果を強めることができます。
また薬はできるだけ飲みたくないという方には処方する高血圧アプリもお勧めです。
高血圧が改善されない場合、何か別の病気が隠れているかも?
高血圧症の患者さんの1割程度は二次性高血圧症といって副腎の異常、腎血管の異常などに起因するものがあり、それらの治療をすることで治ることが多いので最初に鑑別するようにしています。
また、薬を増やしてもコントロールできない治療抵抗性の高血圧症は睡眠時無呼吸がひそんでいることがあり、こちらも同時に検査を行います。
世田谷、三宿、池尻でも昼間は40度近い危険な暑さになるようになりました。
前回は熱中症について書きました、今回は熱中症予防のための水分補給に関してです。
水分補給
体重中に占める水分(体液)の量は、年代別で概ね次のような割合になると言われています。
年齢とともに体内の水分量が少なくなっていきます。
生活で失う水分の量
人が生活で失う1日あたりの水分の量はどのくらいでしょうか?
年齢、環境、個体差はあるでしょうが、成人男子では概ね次のような値になるそうです。
これらの量を合計すると、私たちは約2~3Lの水分を毎日体外に排出していることになります。
飲む(べき)水分の量
では毎日の生活で飲むべき水分の量はどのくらいでしょうか?
飲み物以外からも水分は摂っています。
したがって飲み物からとる必要のある水分はおよそ1200~2000ml/日です。
毎日約1.2~2lも水分を摂れているか?と考えると、いかがでしょうか。
では、体内の水分が不足するとどのようになるのでしょうか。
一般的には、体重の約2%の水分が失われると、のどの渇きを覚える、食欲がなくなるなどの不快感に襲われ、運動能力が低下します。
約6%不足すると、頭痛、眠気、よろめき、脱力感に襲われ、情緒が不安定になるそうです。
さらに10%の不足になると、筋肉の痙攣を引き起こし、循環不全、腎不全になる可能性が高まります。
そして、それ以上の不足になると、意識が失われ、20%の不足では死に至る可能性も出てくるそうです。
「何を」「どれだけ」「どのタイミングで」 飲むべきか?
ではいったい「何を」「どれだけ」「どのタイミングで」飲めばよいのか、考えてみましょう。
1.「何」を飲むべきか
飲み物は水や麦茶で問題ありませんが、水分量に対して、0.2%ほどの塩分、糖分を摂取するようにします。
注意点としては、市販の清涼飲料水は糖度がかなり高いため、大量に飲み続けると、「ペットボトル症候群」といわれる急性の糖尿病を発症するリスクが高まってしまうため、内容や容量には注意が必要です。
また、アルコール、カフェインには利尿作用があるため、体内の水分収支としては排出の方が多くなり、水分補給の目的としてはマイナスになりますし、摂取したアルコールを分解するためには飲酒量の倍の水分が必要になると言われています。
2.「どれだけ」飲むべきか
一日に必要な水分の摂取量の目安は、体重を目安として、本人の体重を30で割った値が必要といわれています。
体重が60kgの人の場合は2L
2Lのうち、食事や代謝以外の残り少なくとも1.2L の水分を自発的に摂る必要がありますが、この必要量を1日6~10回ぐらいに分散して飲むのが理想的です。
例) 150ml × 8回 = 1.2 L
3.「どのタイミング」で飲むべきか
水分補給のサイクルは、「起床時」 「食事(3食)」 「入浴前・後」 「就寝前」をベースに、その間の時間帯に隙間がないようにこまめに補給するのが、理想的といえます。
以上、今回は熱中症に関する予防や対処法をお伝えしました。
普段から水分を適切にとることや、室温、服装を工夫することで熱中症を防止することができます。
夏を楽しく過ごすためにも熱中症には十分注意して過ごしましょう。
家の中でも熱中症
生まれ育った世田谷区三宿ですが最近の熱さには体力を奪われる感じがあります。
昔から夏は暑いものでしたし、こんなにエアコンは一般的ではなかったと思いますが地球温暖化に加え地面の多くが土に変りコンクリートになったことにより照り返しが強く、ビルが多くなって風通しも悪くなったため日陰の屋内でも不快な暑さを感じるようになりましたし猛暑日も多くなっていますので屋内でも熱中症に注意が必要です。
発熱外来に時折熱中症を疑わせる方もいらっしゃるようになりましたので今回は「熱中症」の話をしたいと思います。
熱中症は暑い日には注意しなければいけませんが、特に高齢者は注意が必要です。
高齢者は熱中症になりやすい?
高齢者の場合、日頃から汗をかきにくい状態になることがあり、自律神経の機能低下によって体温調節がうまくできない場合があります。
また、暑さや喉の渇きを感じにくいため、十分な水分補給をせず、熱中症にかかってしまうことがあります。
持病や薬による熱中症のリスク
糖尿病や心臓病、腎臓病、精神疾患など、持病によって体温調節がうまくできないために熱中症にかかることがあります。
また、処方される薬の中でも、降圧剤や抗アレルギー剤、抗不安剤、抗精神病薬、風邪薬などには、暑さを感じにくくさせるものもあります。
熱中症にかかった場合の対処法とは?
熱中症には、軽度から重度まで3段階のレベルで症状が出ます。
Ⅰ度:めまい、立ちくらみ、こむら返り
Ⅱ度:吐き気、嘔吐、頭痛、体のだるさ、虚脱感
Ⅲ度:立てない、けいれん、高熱、意識もうろう
Ⅰ、II度の症状が出た場合、涼しい日陰で安静にし、水分や塩分補給し首、脇、足の付け根に冷えたタオルを当てて体温を下げます。
Ⅲ度の症状の場合は、命が危険に及ぶこともありますので、早急に救急車を呼びましょう。
熱中症の予防対策
室温は、エアコンを活用し、28度程度に維持し、湿度は70度以下を目安にしましょう。
睡眠不足や体調不良、梅雨から夏にかけて気温が上がってくる時期は、体が順応できず、熱中症になりやすいので特に注意が必要です。
どうしても外出しなければならない場合は、朝早め、夕方は日が陰ってからなど、時間を選びましょう。
外出時の服装
熱中症を予防するためには、服装にも工夫が必要です。
黒系の色の服や風通しが悪い素材の服は熱がこもって体温の上昇を招く可能性があるため、白系がおすすめです。
直射日光の当たる半袖やノースリーブよりも長袖で汗を吸収する素材、通気性が良く汗が早く乾く素材のものにし、帽子を忘れずに着用しましょう。
暑くなって歩くのが大変になってきていませんか?三軒茶屋や池尻大橋駅から三宿、池尻、太子堂には意外と坂道があります。
歩くのが辛くなって受診される方もみうけられますので、今回は息切れのお話をします。
息切れの程度は0~5までの6段階にわかれています。あなたならどの段階でクリニックを受診しますか?
・ 0 息切れを感じない
・ 1 強い労作で息切れを感じる
・ 2 平地を急ぎ足で移動する、または緩やかな坂を歩いて登るときに息切れを感じる
・ 3 平地歩行でも同年齢の人よりも歩くのが遅い、または自分のペースで平地歩行していても息継ぎのため休む
・ 4 約100ヤード(91.4m)歩行したあと息継ぎのため休む、または数分間、平地歩行したあと息継ぎのため休む
・ 5 息切れがひどくて外出できない、または衣服の着脱でも息切れがする
多くの方は4か5にならないと受診しないのではないかと思いますが病院の受診を勧める目安は2より悪い場合となっているんです。
息切れの原因
肺は空気中の酸素を取り入れて血液の中に取り込まれて全身に送ります。何かの原因で体に酸素がうまく届けられないと息切れがあらわれます。しかし息切れは意外と肺以外の原因の方も多いんです。肺は機能しているのに体に酸素が届けられないときや、酸素が行き届いているのに酸素が足りないと勘違いするようなときにも息切れがおこります。
1.肺の病気
肺で酸素、二酸化炭素の交換がうまくできないことにより息切れが起こる場合です。
肺炎・胸膜炎・慢性閉塞性肺疾患・びまん性汎細気管支炎・気胸・肺がん・異物誤嚥・縦隔腫瘍・気管支ぜんそく・過換気症候群など
2.心臓の病気
肺は酸素と取り入ることができる状態ですが心臓が弱って十分に体に酸素が遅れない状態です。
急性心筋梗塞・急性心不全・急性心膜炎・心臓弁膜症・拡張型心筋症・不整脈など
3.血管の病気
肺は正常ですが血液を送る肺動脈といわれる血管の病気です。
肺血栓塞栓症・肺梗塞など
4.血液の病気
赤血球が少なくて十分な酸素が運べない状態です。
鉄欠乏性貧血・白血病・骨髄異形成症候群など
5.その他の病気
息苦しさを感じるのは脳です。不安や心因性の要因で感受性が亢進すると通常の状態でも息苦しさを感じるようになりなす。この心因性の息苦しさによって過換気をきたして低2酸化炭素になり、過剰にアルカリ性になった体液によって手や体がしびれて動けなくなったりするのは過換気症候群と呼ばれます。不安や心因性の要因による自律神経失調は、心臓の冠状動脈の攣縮による狭心症をひきおこすことがあり、一過性の心機能の低下によって肺静脈圧が上昇すると息苦しさが起こります。同様に自律神経失調が気管支の痙攣をおこすと気管支喘息が起こり息切れをきたします。
全般性不安障害・自律神経失調症など
息切れの診断
体内の酸素濃度を測る器械を装着し先ずは血液の酸素濃度を測定します。
肺の病気では肺活量を測るような呼吸機能検査を行ったり、レントゲンで肺に変化がないかをみます。
心臓の病気ではレントゲンで心臓の大きさを見たり超音波検査で心臓の形や動きを確認したり、心電図検査が行われます。
その他ほとんどの原因で血液の検査は重要です。
息切れの治療
息切れの原因となる疾患には治療で改善が望めるものと、そうではないものがあります。一時的な病気、たとえば肺炎や胸膜炎などは炎症が改善すれば改善が望めます。慢性閉塞性肺疾患はタバコを現在もしくは過去に吸っていた人に多く見られる病気です。肺の機能の改善は難しいのですが、それ以上の悪化を防ぐためには禁煙外来の受診が重要です。心臓が原因で息切れが出てきた場合は心臓の治療が必要になります。心臓が血液をうまく全身に送れなくなっているため、酸素を含んだ血液が全身に届かなくなっています。この場合は心臓の負担を取り除く治療を行ったり、不整脈が原因の場合は内服治療やペースメーカーなどを使用します。
貧血の場合は出血する病気がないことを確認したうえで治療を開始します。鉄剤の投与で改善することもありますが、高齢者の場合血液を作る力が低下していることもあり、その場合輸血が必要になることもあります。また、がんが隠れていることもありますので、診察を受けることが重要です。
これらの検査で何も問題がない場合には脳が酸素が行き届いているのに酸素が足りないと勘違いするようなときにも息切れがおこりますので超長時間型ベンゾジアゼピン系不安薬などで息切れをコントロールします
息切れの予防、ケア
息切れが出ているときは病院で原因を明らかにすることはもちろん、日常生活でも以下の点に気を付けましょう。
• インフルエンザなど予防できる病気は予防接種をきちんとうける
• 風邪のはやる時期はマスクや手洗いなどで感染を防ぐ
• 生活ではゆったりとしたスケジュールを心がける
• 平地歩行やスクワットなど下肢を鍛える運動を毎日少しずつ続ける
池尻大橋や三軒茶屋駅のある田園都市線はピーク時の混雑率ワーストランキングの常連でしたがコロナ禍の影響か大幅に減少していると言われています。それでも朝の混在は大変ですし今後は以前の状況に戻りつつあると言われているそうです。三宿や池尻、太子堂からご通勤されている方のなかには仕事や通勤のストレスが多いのか不整脈を感じてクリニックに受診される方がいらっしゃいます、今回は不整脈のなかでも動悸についてお話しをしようと思います。不整脈というと怖いイメージを持つ方が多いと思いますが最も大事なことは、その不整脈が危険性が高いものかどうかを判断することです。
1.動悸や脈の乱れを訴えられる方で一番多いのが期外収縮といわれる不整脈です。心室や心房が通常より早いタイミングで収縮する不整脈で時折動悸がする、脈がとぶ、心臓が飛び跳ねるような感覚を感じる等の症状があります。ストレス、過労、アルコール、カフェイン摂取、喫煙などの要因が関与することがあります。比較的治療の必要のないケースが多いですが中には危険な不整脈が潜んでいることもありますので一度診察を受けていただくことをお勧めいたします。続けて起こる場合や、心臓に病気がある場合は、薬物療法や生活習慣の改善が必要です。
2.日常生活で特に何もしていなくても、突然始まるドキドキは、多くの場合その時に速い脈の不整脈が起こったと考えられます。規則正しく打つ場合もあれば、全く不規則に打つ場合もあります。これらは、不整脈の種類は異なりますが、いずれも治療を必要な不整脈であることが多く、自覚したらできるだけ早い受診が望ましいです。最近の高齢化社会を背景に増加している心房細動という不整脈はこれに当たります。心房細動は、心房が速く不規則に収縮することで、心臓が効率的に血液を送り出せなくなる状態です。加齢、高血圧、糖尿病、心臓病などがリスク因子として挙げられます。治療方法は、脳梗塞の予防のための抗凝固や脈を落ち着かせるための薬物療法、不整脈の原因となっている部分を焼いて止めるカテーテルアブレーション、心臓ペーシングなどがあります。
どちらの不整脈も危険な不整脈、つまり心臓が突然止まったり、血圧が急に下がったりすることは比較的少ないとされています、動悸が出ても血圧が下がらなければ(気分不快、一時的な意識消失等の症状が出ます)慌てる必要はありません、慌てるとストレスが更に不整脈の原因となりますのでまずは落ち着いて座って休憩をして一息着いてください。ただしこれらの不整脈は突然死を起こす危険性は比較的少ないですが適切な治療をしないと5年10年後には心臓死等の原因となることがありますので早めの受診をお願いします。
二回目は近隣の三宿、池尻、三軒茶屋だけでなく周辺の世田谷区地区でも問い合わせの多い足の浮腫みのお話です。
足のむくみは良くある症状ですが、その原因は実に多岐にわたります。運動不足や長時間の立ち仕事などの生理的、一時的なものがほとんどですが、なかには心臓や血管、腎臓など深刻な病気の症状として表れるものもあります。まず運動習慣や病歴を聴取し治療が必要なむくみかどうか、診察、下肢の超音波検査、心臓の超音波検査、血液検査などで判断していきます。
早期に発見したいのは心臓が原因(心原性)、腎臓が原因(腎性)のむくみです。片足だけのむくみ(片側性)ではなく、両足ともむくむ(両側性の)場合が多いです。
1.心臓が原因の場合
心臓が悪い可能性が疑われる場合は聴診、心電図、採血、胸部エックス線撮影、心臓エコー検査にて心機能(心臓のポンプの役割としての力強さや弁の逆流の有無など)の評価を行います。心臓の機能が弱ってくると血液が心臓に還りにくくなり足だけでなく手や顔にもむくみは生じることがあります。まずは心臓が悪くなった原因を調べ必要な治療を行うことが重要です。浮腫みに対しては心不全の治療薬や利尿剤の内服などを行います。
2.腎臓が原因の場合
腎臓が原因の場合は腎機能の指標である採血と尿検査でタンパクや血液が混じっていないかを測定します。腎臓の機能が低下すると体内に水分が滞ってしまい全身がむくみます。糖尿病や高血圧、高脂血症が原因になる場合が多く治療はまずはこれらの原因となった病気の治療が重要です。浮腫みに対しては利尿剤の内服治療などを行いますが、悪化する場合には連携病院へ紹介いたします。
またほかにも血糖値が高く糖尿病が疑わしい時には糖尿病性浮腫の可能性があり、貧血、栄養状態が悪い場合(低栄養)、肝機能障害でもむくみを認めるため、一般的な血液検査、甲状腺機能(ホルモンの測定)なども調べる必要があります。
3.深部静脈血栓症
主に片方の足だけ急激に足のむくみがすすみ、皮膚がカチカチ、パンパンになるなどの症状がでます。足の血液のほとんどは深部静脈と呼ばれる筋肉の内側を走る太い静脈を通って心臓に還りますが、この深部静脈に血栓と呼ばれる血液のかたまりが出来て詰まってしまうため、足全体がパンパンに腫れて痛みを感じます。昔はエコノミークラス症候群とも呼ばれ、動き始めたときに肺塞栓という病気を起こし突然死することもあります。血栓ができる原因は、長時間同じ姿勢でいること、脱水、薬の影響などいろいろ考えられます。血液検査や下肢の超音波検査で診断できます。早急に治療を始めないと命に関わる場合もあり、胸の痛み、息が苦しい等の症状を伴う場合には直ぐに受診してください。血栓は血液をサラサラにする薬を内服することで治療できますが肺塞栓を起こし命の危険がある場合には連携病院での入院加療が必要になることもあります。なにより速く診断することが必要な病気です。
4.下肢静脈瘤
下肢にミミズ様の血管の腫れを認める場合は、下肢静脈瘤の存在を疑い検査をします。静脈炎・皮膚色素沈着・皮膚潰瘍の有無を評価し、検査は静脈エコー検査にて静脈の逆流があるかどうかや血管内に血栓があるかどうかを評価します。軽度の場合には医療用弾性ストッキングの着用で症状を抑えることができますが、根治には静脈の焼灼または塞栓の手術による治療が必要です。
5.リンパ浮腫
リンパ管というリンパ液を流す細い管の障害によるむくみです。乳癌の手術後に起こる手のリンパ浮腫などが代表的です。痛みはそれほど強くありませんが、とにかくパンパンに腫れ、時には細菌が入って赤くはれることがあります。超音波などで血管の病気がない場合にはリンパ浮腫が疑われます。治療は弾性ストッキングによる圧迫やリンパマッサージの指導を行います。重症の方ではリンパ管吻合術を行っている連携病院へ紹介も可能です。
病的なむくみではない場合
降圧剤の一つであるカルシウム拮抗剤が原因の浮腫も稀ではありません。運動習慣がない場合や長時間の立ちっぱなし、座りっぱなしでも浮腫を生じます。
高齢者や運動能が低下している患者さんではなるべく歩くこと、つま先立ち運動、就寝時の下肢挙上、入浴時のふくらはぎのマッサージが効果的です。
高齢者では足に菌が侵入して感染を起こすことも多く、予防のためには乾燥肌に対してのスキンケアも重要になります。
デスクワークの場合はこまめに立ち上がって歩きましょう。
医療用弾性ストッキングもむくみの軽減に役立ちます。弾性ストッキングは、足首への圧迫が最も強く上に行くに従って圧力が下がる設計で作られており血液が心臓に戻りやすくなります。一般のドラッグストアなどに置いてある着圧ストッキングに比べ圧が高く、そのぶん効果も高くなります。ご自分の足に合ったものを正しく着用しないと血行を妨げるなど逆効果になることがありますので必ず医師の診断を受けてから、試着、看護師による着用の指導を受けましょう。当院では各種ストッキングのサンプルを置いており、看護師による相談や試着が出来ます。
足のむくみに関するお悩みがありましたらお気軽にご相談ください。
ここでは私の診療方針等を公開していこうと思います。
三宿や池尻でも少し発熱で来院される方が増えてきましたのでまずはかぜ(発熱、咽頭痛)についてです。
かぜとは一般に鼻水・鼻づまり・くしゃみ、のどの痛み、咳、痰などが同時期に生じる病気の総称です。そのほとんどがウイルスによるもので、多いものでライノウイルス、アデノウイルスなどです。抗生物質は有効な治療ではありません。早期のコロナウイルスやインフルエンザウイルスには治療薬がありますのでどちらかのウイルスかそれ以外かの判定には発熱外来の受診が重要です。それ以外のウイルスでは一般的に自然経過は感染後、2,3日で発症し、咽頭痛、鼻水などの鼻炎症状、次いで咳、痰が出始めます、症状をおさえる対症療法のみとなりますので風邪薬を飲んだからといって早く治りもしません。ただ症状がつらい時には薬で症状を抑えることが必要な場合もあると思います。喉の痛みや高熱には鎮痛薬(アセトアミノフェンやロキソプロフェンなど)を用います。ひどい鼻汁、鼻閉、くしゃみには抗ヒスタミンが有効ですが時には早期のみエフェドリンを同時に用いることもあります。
咳については中枢性鎮咳剤(脳に作用して咳をしずめる)はアメリカ胸部学会、アメリカ家庭医療学会などでも使うべきではないとされています。ただ症状の続く方や夜間咳で眠れない方には最小限の処方も有効と考えています。痰には単純に去痰剤を処方します。
また、希望であれば、漢方薬で体を温める葛根湯や麻黄湯、のどを潤して咳を止める麦門冬湯や小青竜湯も処方しています。
かぜの仲間に扁桃腺炎や副鼻腔炎(いわゆる蓄膿)があります。実はこちらも軽症なら抗生物質を使わずに経過観察できる場合もありますが溶連菌などが疑われる場合には腎盂腎炎や髄膜炎の予防には抗生剤の投与が有効と考えています。
どうでしょうか?なんとなく理解していただけましたか?あまり薬を処方することは進めませんが、理由を説明したうえで患者様のご希望をよく聞いて症状の緩和に努めるよう柔軟に対応していますのでお気軽にご相談ください。